結婚指輪つけるか外すか

結婚してから一回も結婚指輪を外さなかった。お風呂の時も家事の時も外したことがない。そういうものだと思っていたからだ。

泥棒事件のところで書いたが、夫の結婚指輪は盗まれた。わたしの婚約指輪は奇跡のように出てきた。石のついた婚約指輪は、やっぱり日常使いにはしにくくて、大切に保管している。

死別しても、わたしはMrsだ。結婚指輪をつけ続けた。結婚式の誓いで「死が二人を分かつまで」と宣誓したが、まさかこんな短く結婚生活が終わるなんて思ってもみなかった。夫の死によって今わたしは書類上、法律では独身、シングルなのだが、結婚指輪をすることによって、わたしは今でも亡くなった夫の妻なのだ、と誇りというか、それがしっくりきた。

それが、死別2年近くなると苦しくなるようになってしまった。左手の薬指に圧迫感を覚え、指輪が目に入るたびに心が痛んだ。

その事に自分で気付いてから、誰にも相談することなく、わたしは結婚指輪を外した。そして婚約指輪と一緒に仕舞いこんだ。

指輪のないことに気づいた子供たちは少しだけ反論した。でも、わたしは、外すタイミングなのだと思った。心が少しだけ軽くなったからだ。何故だかは説明できないのだけど。

夫は私の心の中に住んでいる。私の一部だ。指輪で証明することはない、と思った。いつか新しい出会いがあるかもしれないから、指輪がない方がいいかも、とも思った。またしたくなったら、指輪をまたつければいいのだし、とも思った。

わたしは正真正銘死別シングルマザーだ。