夫がいなくなった日〜病院に行くまで〜

週末だった。特売セールで買った牛ミンチでミートソースを作って、お昼にスパゲティと一緒に家族みんなで食べた。めずらしく、美味しくなかった。本当に美味しくなかった。「美味しくないね、特売のこのミンチ、変なのかな?」と苦笑いしながら、それでもみんな食べた。夜ご飯は手巻き寿司にするから、それは楽しみだね、美味しいサーモンも手に入ったしね、と言いながら。

この不味いミートソーススパゲティが夫の食べた最後の食事になった。大後悔で、本当に申し訳ない。

夕方、夫はいつも私たちが通っている地元の教会に出かけて行った。私はつわりで寝込んでいたし、子供達と家に残った。「バイバイ」と送り出したものの、車までは見送らなかった。アイラブユーも言わなかった。

夫が出かけて1時間も経たずに、私の電話が鳴った。夫が倒れて救急車で運ばれたというのだ。救急隊員が私にいろんな質問をしたけど、もう詳しくは覚えてない。ただ、この数日飲んだ薬はあるか?と聞かれ、その日市販の風邪薬を飲んだ、と答えたことは覚えている。とにかく出来るだけ早く病院に向かってくれ、とのこと。夫が車を持って行ったので、私はタクシーで病院に向かった。イギリスで雪は珍しく、ノロノロ運転で気が焦った。病院からまた携帯に電話がなった。

すごく悪い予感がする。祈り続けた。